5,000億ドルの賭け:OpenAIとソフトバンクの「スターゲート」プロジェクト
AIデータセンターの最終形態。米国政府まで加勢した5000億ドル規模の「スターゲート」プロジェクトが公開された。AIインフラ市場の版図を変える巨大な流れ。
「金は問題ではない。電力が問題だ。」 サム・アルトマン(OpenAI CEO)が2024年から叫んでいた言葉が現実になった。2025年12月、米国政府の全面的な支持の下、OpenAI、Oracle、そしてソフトバンクが主導する史上最大規模のAIインフラプロジェクト**スターゲート(Stargate)**が公式発足した。
投資規模だけでなんと5,000億ドル(約650兆ウォン)。大韓民国の1年予算に匹敵する金が単一データセンタープロジェクトに投入される。VC審査役として、この巨大な資本の流れがスタートアップエコシステムに及ぼすトリクルダウン効果を分析する。
1. プロジェクト概要:想像を超越するスケール
「スターゲート」は単純なデータセンターではない。一つの巨大なAI都市を建設するプロジェクトだ。
- 位置: 米国中西部のテキサスとアリゾナ砂漠地帯(太陽光発電の容易性)。
- 電力: 5ギガワット(GW)。原子力発電所5基分量の電力を消耗する。このために小型モジュール原子炉(SMR)スタートアップと契約を結んだ。
- チップセット: 数百万個の次世代GPU(Blackwellおよび以後モデル)が搭載される。
2. なぜ5,000億ドルなのか?
GPT-6、GPT-7を学習させるためには今のインフラでは不可能だ。現在全世界に存在するすべてのGPUを合わせても不足する。
2.1 AGIへ向かう最後の関門
ソフトバンクの孫正義会長は「AGI(汎用人工知能)は金銭的費用より時間的費用がもっと重要だ」とし、「10年を繰り上げることができるなら1000兆ウォンも惜しくない」と賭けに出た。このプロジェクトはAGI誕生の物理的揺りかごになるだろう。
2.2 米国政府の「Tech Sovereignty」
プロジェクト発表場に米国商務長官が同席した。これはスターゲートが単純な民間プロジェクトではなく、米国のAI安保資産であることを意味する。中国とのAI覇権競争で圧倒的な優位を占めるための国家的勝負手だ。
3. スタートアップエコシステムに及ぼす影響(トリクルダウン効果)
この天文学的な資金はどこへ流れるのか?ここに投資機会がある。
3.1 エネルギースタートアップのルネサンス
5GWの電力を環境に優しく供給しなければならない。
- SMR(小型原発): NuScale Powerのような上場企業だけでなく、次世代核融合スタートアップにも莫大なR&D資金が流れ込むだろう。
- 冷却技術: 水不足地域である砂漠でデータセンターを冷やすための「非伝導性液体冷却」技術を保有したスタートアップがM&Aターゲット1順位だ。
3.2 半導体デザインハウス
Nvidiaチップだけでは不足だ。特定演算に特化したカスタムNPU(ニューラルネットワーク処理装置)需要が爆発するだろう。韓国のチップ設計(Fabless)およびデザインハウススタートアップにとってはまたとない機会だ。
3.3 AIインフラソフトウェア
数百万個のGPUを効率的にスケジューリングし、エラーを復旧する「MLOps」技術は今や必須財だ。「GPU稼働率を1%だけ上げても数千億ウォンを節約する」という言葉が出るほどだ。
4. 懸念とリスク:「勝者独食」の加速化
しかし光が明るければ影も濃い。
- GPUブラックホール: スターゲートプロジェクトが全世界GPU生産量を吸い込めば、貧しい大学研究所や初期スタートアップはGPUを見ることもできないかもしれない。「コンピューティング資源の貧富格差」が極甚になるだろう。
- モデル独占: もっぱら少数のビッグテックだけがAGIを所有することになる。オープンソース陣営(Meta Llamaなど)がいくら善戦しても、物理的インフラの格差は狭めにくい。
5. 結論:波に乗れ
5,000億ドルという金は市場を歪曲させるほど大きい。今やすべての技術スタートアップのIR資料には「我々がスターゲートエコシステムにどう寄与できるか?」が含まれなければならないだろう。
VCたちはすでに動いている。ソフトウェア(SaaS)よりはエネルギー、素材、ハードウェアなど「インフラを作るインフラ」企業に注目してほしい。2026年のユニコーンはそこで誕生するだろう。